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写真が語る第二次世界大戦

サイモン・アダムズ 著/猪口邦子 日本語版監修/英国戦争博物館 協力
写真が語る第二次世界大戦
  定価(本体2,500円+税)
判型: A4変型判
ページ数: 64頁
ISBN: 978-4-7515-2317-9
NDC: 209
初版: 2005年5月
対象: 小学校高学年〜中学生
品切れ
死者5500万人にも及んだ第二次世界大戦を、さまざまな角度から、貴重な写真とともに伝える。写真でこそ迫ることのできる戦争の実態。


「知」のビジュアル百科

表紙 恐るべき近代戦争を
写真で伝えるガイドブック
死者推定5,500万人。
世界各地を焼きつくした第二次世界大戦。
そのとき、兵士は、市民は、どう生きたのか?
残された写真が伝える第二次世界大戦の真実。
ひとめで!
「ダビデの星」と絶滅収容所
がれきの山と化した空襲直後のロンドン
1944年、パリ解放!勝利の行進
ベルリン陥落、ソ連軍が勝利の旗を掲げた瞬間
わかる
史上最大の作戦!ノルマンディ上陸
各国の地下組織、パルチザンたちの活躍
プロパガンダの効力
指導者の名を冠した都市スターリングラードの受難
その知られざる世界
トランプにしこまれた秘密の地図
占領下のオランダで使われていた手づくりラジオ
暗号機のしくみ
「007」シリーズはここから生まれた?!

 史上最大の総力戦の実相をさまざまな角度から総合した本であり、細部をリアルに明らかにするひときわ優れた内容になっている。全体を貫く視点として、戦争に関わる政府や政治家というより、その時代を生き、またその犠牲となり、あるいは抵抗に身を投じたり技術を支えたりするなど、極限状態のなかの人間の勇気と姿を大事に受け止めようとしている。さらに、後のコンピュータの発達につながる暗号解読技術のくわしい解説が付されているなど、技術面の工夫をピンポイントに明らかにしているところも特徴である。小さな技術も見落とさず、たとえばレジスタンスの仲間が手紙が偽造されていないことを知る手段として切手の人物画の目の下に若干の隈をつけた独自のものを作っていたなど、写真でこそ迫ることのできる人間の知恵が次々に示されていく。
  欧州での子供の疎開を論じる部分では、米軍爆撃機が連日襲うなか日本の子も親から離れる運命となったと記されているなど、日本に関する記述にも配慮がある。本書の写真はソ連の労働者として農民が立ち上がる銅像から始まり、千羽鶴が折り重なって捧げられている広島平和記念公園の祈りの像で終わっている。ソ連は大戦中に最多の戦争犠牲を出した国であり、日本は原爆の未曾有の悲劇に直面した国である。英国人の手になる本だが、戦争半世紀を超えて、共通の史観へと歩もうとする本である。
猪口邦子(上智大学法学部教授)

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